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2009年 07月 14日
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社民党衆議院議員・小児科医・阿部知子のメールマガジン \^o^/「カエルニュース」 348号 2009/7/14 \^o^/ http://www.abetomoko.jp/ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ★☆引き延ばした末の解散総選挙。 しかし悪法だけは通った☆★ 7月13日午後、参議院本会議で臓器移植法改正案(A案=河野・ 中山案)が可決成立、これで本人意思の有無を問わず家族の同 意のみで「脳死者」からの臓器摘出が可能となった。 「脳死」とはいかなる状態なのか、臓器提供の応諾を家族の 判断に委ねてよいのか、他者の死や犠牲の上に成り立つ臓器移 植におけるドナーとレシピエントの人権、医療資源としての人 体利用と人間の尊厳などの根本問題は、移植を待ち望む人々の 声にかき消され、また政局に翻弄されながら、最後は解散前の 駆け込み賛成多数となったのである。 昨年以来10ヶ月以上も引き延ばされ、自らの手で解散総選挙 を断行すると言った麻生総理の言葉とは裏腹に、満期直前の8月 30日に追い込まれた総選挙日の決定を告げる記事と並んで、 「脳死は人の死」という大きな見出しが同日の夕刊の新聞紙面 には躍っていた。 虚しさとともに、一体政治は何をしたのかという怒りが心の 底から湧いてくる。政治家が有権者から与えられたその時々の 政治の判断が、人間の生死に関わる深い歴史的・文化的・宗教 的共感を強引に奪っていく、そんな光景であった。国民のだれ も議員達にそんなことまで委ねた覚えはないはずなのに。 そもそもこの4年間、小泉元総理の郵政民営化選挙の結果誕生 した強大な与党勢力はどんな悪法であれ、最後は数の力で成立 させてきた。そんな中で障害者自立支援法や後期高齢者医療制 度など障害者や高齢者の人権を奪い、排除や差別を是認する法 律までも成立させていったのである。 ところが年金をめぐる不祥事が次々と発覚して、一昨年夏の 参議院選挙では野党が大勝した結果「ねじれ国会」が誕生し、 政権運営に自信をなくした総理が次々と交代するところとなっ た。しかしその一方で、自民・民主の両党間の水面下での合意 のある法律は徹底した審議などもなく、通過成立させられてき た。ある法案は反対、またある法案は賛成という風に民主党の 態度はその時々変わっても、とにかく早く処理することが国会 対策として優先されてきたのである。 とりわけ麻生内閣誕生以降の10ヶ月は、早期の解散総選挙を 求める民主党の考えは「とにかくこの法案の採決をすれば、後 は与党も解散するはず」的論法で、国民からの批判の強かった 定額給付金や15兆円の補正予算への対応も実際には徹底抗戦で はなかった。もちろん選挙になれば「反対した実績」を謳い、 「政権交代」によってそれを変えるという主張が通りやすいか らでもある。しかし、それが民主主義や国会審議の空洞化を生 み、全てを政局対応していくマキャベリズムをはびこらせたこ とに民主党はどれほど気付いているだろうか。 他方、その陰で本来は超党派で成立にこぎつけた方が良い肝 炎対策や生活保護の母子加算復活などの法案は、与野党の対立 故に後送りにされ放置されたまま終わる。そればかりか自・公 ・民の合意で成立した水俣病救済法などは患者救済の一方で、 当事者企業であるチッソの責任を霧散させかねない法律である。 政治に駆け引きのあることは否定するものではないが、この間 の巨大与党、そしてねじれ国会は議会制民主主義本来の姿をあ まりにも歪曲させてしまったように思えてならない。そして、 その結果が大政翼賛にも似た臓器移植法改正案へのなだれ込み となった。 衆議院でのA案可決の際に、D案提出者のある議員がつぶやい た言葉が今も私の耳に残っている。「こうやって戦争にも賛意 が示されていったのかもしれない」-そう思わせるほど一人一 人の思慮を超えた力が、採決の場を支配していたように思える。 熟議の民主主義などどこにもない、恐ろしい現実である。来 るべき解散総選挙で今度は民主党への風が吹き、また有権者が 大挙してそこに流れるかも知れないけれど、そんな中でも民主 主義の本質である少数意見や小政党がどう生き残れるのか、私 も全力を挙げて闘いに打って出る覚悟である。どうかよろしく ご支援ください。 阿部知子 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
by abetomoko2
| 2009-07-14 21:31
| カエルニュース
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